何よりも甘く切なく
お次は私が首を傾げると、男の子は意識が戻った様だった。


「あっと……オレん家連れてくのは、手当てする為だよ」


「手、手当て?」


「血洗い流すだけなら公園でいいんだけど……きちんと消毒しなきゃいけないからさ。だからオレん家連れてくの」


そう言った男の子の言葉は――――…初対面なのに、なぜだか信頼出来た。


「え、でも……」


「大丈夫。オレの家メッチャ近いから。なんせ歩いて8分!!」


これを聞き終わった途端、視界が揺らぐ。


そうして私は本当に男の子の家に連れてこられてしまった。


「―――…っと」
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