何よりも甘く切なく
だからかぁ……男の子なのに、こんなに手当てが上手いの。


私は姉1人に兄1人の末っ子で、かなりのドジっ娘。


初めて会話した男の子にお姫様抱っこして運んで貰って、ケガの手当てして貰って―――…カッコ悪過ぎる。


「あ、あの……お礼したいんだけど、何がいいかな!?」


不甲斐ない己にドンヨリ落ち込んだ私は、せめてちゃんとお礼しなきゃと、俯いていた顔をパッと上げた。


「え?お礼?いいよ別に」


「イヤイヤ!両親に“人にお世話になったらちゃんとお礼しなさい”言われてるから、何か言って!」


じゃなきゃ私の気が済まない!
< 59 / 437 >

この作品をシェア

pagetop