何よりも甘く切なく
「ホエ?ああ……ショートケーキ入ってるの。私調理部だから作ったんだけど、転んだ時グッチャになっちゃって………」


「ああ、だからか……」


シュンと落ち込む女の子には悪いが、ケーキの甘い香りがより一層オレの心を惑わす。


どうしてだかこの子の香りイメージは、お菓子系がピッタリだと感じていた。


そうこうしている内に、沢賀家に到着。


「庭に水道あるから、まずはそこで血流そう」


オレはグルリと玄関から庭に回って、女の子を降ろした。


クツ下とクツを脱いで貰い、水道で傷口を洗う。


「大丈夫?水、冷たくない?」
< 75 / 437 >

この作品をシェア

pagetop