夢を見る
 ただ、ずっと一緒にいるだけで、心から分かり合えた。


 彼が傍にいてくれるだけで、十分幸福感を味わえたのである。


 休日中ぐらい、憂さや怒りなどの感情は忘れてしまっていた。


 人間はどうしても、いつもはそういった類のものが前面に出てきてしまうのである。


 だけど、それは時が過ぎるうちに忘却してしまうことだ。


 あたしも十分分かっているのだった。


 同じことの繰り返しで日々が終わっていくことが、である。


 単調さは人間を参らせるのだが、あたしも雄哉も社会に組み込まれているので、仕方ない。


 あたしも普段から嫌なヤツとは、一切口を利かなかったのである。


 特に会社にいると、そういった人間が大勢いて、嫌がらせの類などをしてくるのだ。


 別に気にしてない。


 ただ、そういった人間がいるのねという程度で。
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