夢を見る
 彼が立っている。


「ああ、いらっしゃい」


 そう言って部屋に上げ、リビングへと案内して、


「雄哉、アイスコーヒー飲む?」


 と訊く。


「ああ、いただくよ」


 彼がそう返し、リビングの椅子に座って寛ぎ始めた。


 確かにお互い仕事漬けで倦怠を覚えている。


 毎日、朝から晩までずっと仕事なのだ。
 

 特にあたしのように、女性でも管理職にいる人間は尚更そうだった。


 ずっと部下たちを見張り続ける。


 どんな噂をされているのか、見当が付かない。


 だけど、フロア中央の席に座っていれば、全体が見渡せる。
< 151 / 815 >

この作品をシェア

pagetop