夢を見る
「うん。きついことはきついこととして受け入れて、休みになったらなるだけゆっくりした方がいいと思う。最近、それが身に摘まされるように分かってきたよ」


 やはりそうだったのだ。


 彼もあたしと同じ苦しみを味わっていたのである。


 まあ、お互い生身の人間だから、そういったことは当然分かっていたのだけれど……。


 雄哉のアイスコーヒーのグラスに浮かぶ氷が揺れて、溶けた。


「今日はリラックスしてね。お互い、いつもは戦場なんだし」


「ああ」


 彼が端的に頷き、ソファーに座って寛ぎ続ける。


 そしてあたしの差し出したアイスコーヒーのグラスに口を付け、飲んだ。


 いつもの憂さを忘れて、ゆっくりする。


 特に何かを考え込むことはない。


 単に窓から差し込む日差しが強くなってくるだけで、室内に変化はなかった。
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