夢を見る
「ああ。営業担当だからな。ずっと外回ってるし」


「日中がこんなに暑いから、大変でしょ?」


「うん。だけど、するしかないからしてるんだよ。受け入れる形でね」


「そう……」


 思わず言葉尻に含みを残してしまう。


 彼が、


「友里、例の加賀美コンツェルンとの業務提携の件、どうなってる?」


 と訊いてきた。


「ああ。あれは何とかこなしているわよ。もちろん、先方は何かと胡散臭いけどね」
 

「君も大変だな。大丈夫?」


「ええ。株関係の担当者とも会ったわけだし」


 あたしもウソは付けないから、本当のことを言う。


 そして翻り、口を開いた。
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