夢を見る
 今の雄哉との間にある一体感だって、別にすぐに実ったわけじゃない。


 ずっといろいろありながら、育っていっているのだ。


 これはあたしなりの結論だったが、愛も酷な試練があってこそ、出来上がっていくものだろう。


 揃って海を見つめながら、そう思っていた。


 互いに寄り添いながら……。


 その夜、本当なら帰った方がよかったのだが、珍しく車中泊した。


 車を締め切り、クーラーを効かせてシートを倒し、ゆっくりし続ける。


 抱き合った後、自然と眠りに落ちた。


 翌朝起き出すと、彼がまだ眠っている。


 起こさないようにして、車を出、近くの自販機へと向かった。


 そして財布から小銭を取り出し、コイン挿入口に入れて、ブラックのアイスコーヒーを二本買う。


 普通の休日だった。
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