夢を見る
第36章
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 また出勤日になる。


 社のフロア内でずっとキーを叩きながら、部下たちの仕事ぶりを見ていた。


 確かに平日は長く感じる。


 何せフロア内は絶えず電話が鳴ったり、ファックスやプリンターなどが作動したりしていて、メンタル面で疲れるからだ。


 だけど、簡単に会社を休めない。


 そう思っていた。


 まあ、生身の人間だから仕方ない、と思って割り切っていたのだけれど……。


 別に普段から大きなことばかりを手掛けているわけじゃない。


 ただ、加賀美コンツェルンの株担当の成川の出方が気に掛かる。


 あちらは株のプロだ。


 しかも時間外取引の手法で追加してうちの株を取得し、四割以上を保有している。


 筆頭株主に躍り出た以上、いずれ取締役会に人間を送り込んでくるだろう。
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