夢を見る
 夏の朝は。


 だけど、コーヒーをカップ一杯飲み、二杯目を淹れに行く時はすでに目が覚めていた。


 夏らしく半袖シャツを着て、下も膝までの丈のスカートを穿いている。


 三十代だからこそ、出来るファッションもあるのだ。


 そんなことを思いながら、またパソコンに向かう。


 それにしてもネット上は大騒動だった。


 加賀美コンツェルンの解体は、長年日本の経済界を支配してきた巨大グループの一角が壊れたことを意味する。


 新興企業にはまるでない伝統的な経営手腕が、逆にアキレス腱として逆手に取られ、そういった手法が現代の経済界ではまるで通用しないことが証明された。

 でも、うちの社も株式の四割が買われ、被害を受けたところの一つだ。


 いずれ加賀美コンツェルンは上場廃止になるだろう。


 加賀美純三の記者会見は、株式オタクのような人間を雇い入れ、その結果がこの通りだったことを証明したに等しかった。
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