夢を見る
「まあ、心は十代でも体は三十代だからね」


「……」
 

 玉木が黙り込む。


「気にしないで。あたしもメンタル面でブレーキ掛けてるから」


 そう言って笑い飛ばす。


 世の中の憂さなど、いくらでもあるのだ。


 人間は無意識のうちにそういったことを感じ取っている。


 あたしもそうなのだった。


 ずっとオフィスに詰め、合間に食事休憩を取ったり、午後三時からカフェに行ったりする。


 タブレット端末を持って、だ。


 紙の本の代わりに電子書籍を読む。


 そして一週間があっという間に過ぎ去っていく。
< 298 / 815 >

この作品をシェア

pagetop