夢を見る
あたしも三年の時から就活していたのだが、所属学部が文学部だったので、就職口が簡単に見つからなかった。
同級生も一般企業じゃなくて、教員などを目指す人間が大勢いたのである。
あたしも当時古い型式のノートパソコンを持ち歩きながら、合間にずっとエントリーシートなどを打ち、企業の人事の担当者などに送っていた。
どういった形で選考が行われるかは知らなかったのだが、担当者からケータイに採用の電話が掛かってきたときは、嬉しかったのを覚えている。
確か四年生の前期試験が終わり、夏休みに入ってからだったから、八月の上旬か……?
就活し終え、通常通りゼミに参加しながら、卒業まで専門の研究をし、四年生の後期が終わる十二月下旬に卒論を出した。
四百字詰め原稿用紙に換算して百枚ぐらいで、四年間の研究の集大成だ。
専門は芥川龍之介だった。
あたしも芥川の作品は全部読んでいて、今でも自宅マンションの本棚に置いている。
もう読まないのだが、大学時代は何度も通読していた。
だけど、あたしもラッキーだ。