夢を見る
 まあ、一過性のものとして受け止めれば、それに越したことはなかったのだが……。


 パソコンに向かいながらも、苛立ちのようなものがあるのが自分でも分かった。


 何せ、春だからである。


 この季節は残酷だ。


 あたしも分かっている。


 ずっと仕事を続けていても、心身に不調が出てくることが。


 瀬岡はフロアを管理する立場のあたしに、いろんなことを要求してくる。


 大抵、自分が出来ないことを押し付けてくるのだ。


 あたしも尋常な神経じゃいられない。


 フロアにいる間は常に気を張っている必要があった。


 まあ、別に無理をすることもないのだけれど……。


 定時の仕事が終わり、残業までした後、社員が全員帰ってしまうまで居残っていたのである。
< 34 / 815 >

この作品をシェア

pagetop