夢を見る
第53章
     53
 それからウイークデーが過ぎ去っていき、あたしも普通に会社に詰め続ける。


 確かに仕事はきつかった。


 やはり管理職となると、社員皆を見張り続ける必要があるからだ。


 社のフロアでコーヒーを飲みながら、書類や企画書などを打ち続ける。


 昼休みと午後三時からの休憩時間ぐらいしか休む間がなかった。


「尾田主任」


「何?」


「街の花火大会も終わりましたし、夏も終わりですね」


「ええ。……っていうかね、玉木、業務時間中の世間話は止めてよ」


「分かってます。私も仕事続けますので」


 玉木が軽く咳払いした後、デスクのパソコンに向かう。


 そしてキーを叩き続けた。
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