夢を見る
 あたしもいつの間にか、ITにドッと浸る生活に慣れてしまっているのだった。


 だけど、これが三十代女性管理職の現実だろう。


 そう思っていた。


 午後三時半を回る頃、帰社しても、終業時刻は午後五時で残業もする。


 フロアに戻っても、キーを叩き続けていた。


 そして金曜の終業時刻になり、玉木に、


「週明けにまとめて目を通すから、企画書打っておいて。頼むわよ」


 と言う。


「分かりました」


 優秀な部下を持つと、頼もしいと思える。


 あたしも恵まれている方だった。


 金曜の夜は雨降りだったが、午後八時過ぎに社を出て、車を停めている駐車場へと向かう。
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