夢を見る
 また平日に戻れば、仕事が始まるのだが……。


 雄哉が来たのは午後二時半きっかりだった。


 入って早々、匂いに勘付き、訊いてくる。


「夕飯、カレー?」


「ええ。……普段自炊することって、あまりないけど」


「そう……」


 彼が言葉尻に含みを残しながら、言った。


 それから暗黙裡に体を重ね合う。


 ゆっくりと絡み合った。


 何を言うこともなしに。


 そして互いに蛇が絡むように、性行為が始まる。


 まあ、あたしも雄哉とは何も言わずとも分かり合える仲だったが……。


 それに普段の事はすっかり忘れてしまう。
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