夢を見る
 キッチンでコーヒーを二人分淹れ、彼の飲む方には蓋をして冷めないようにしておく。


 そして洗顔し、すっぴんのままで、朝食を用意し始めた。


 メイクしなくてもいいと思える。


 休日ぐらいは。


 外に出ない時は素顔の方がいいのだ。


 三十代のあたしにとって、別に都合の悪いことはない。


 朝食を作り終わり、テーブルに皿を並べてしまうと、雄哉が起きてきた。


「……おはよう」


「ああ、おはよう。……コーヒー淹れてるわよ」


「ああ、ありがとう。いただくね」


 彼がそう言ってキッチンへと入っていき、カップの蓋を取って飲み始めた。


 そしてその後、二人で朝食のテーブルを囲む。


 あたしも思っていた。
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