夢を見る
 ずっと仲が悪かったのだし、第一、あんな老人変わらないだろうと思えていたからだ。


 まさにその通りだった。


 最後まで病室で酒を口にしていたらしい。


 アルコールが人生を破滅させると言うけれど、まさにその通りの結果になった。


 同情の余地など、まるでないと思っていたのである。


 あんな人間、何もなかったなと。


 一応葬儀屋から職場に電話が掛かってきた。


「せめてお線香の一本でも上げて差し上げてください」と。


 即答したのだ。


「いやです。二度と電話掛けてこないでください」と返し、そのまま乱暴な感じで切った。


 それだけあの男に対する憎しみがひどかったのだ。


 絶対に許せないという。


 そしてその気持ちを仕事にぶつけた。
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