夢を見る
 いつか苦しみから解放されると信じているからこそ、生きていけるのだった。


 もちろん、全速力で飛ばすわけにはいかない。


 匍匐で前進するつもりだった。


 あくまでゆっくりと、だ。


 土曜の朝、起き出して、鏡を見ながら今日はノーメイクで行こうと思った。


 別に化粧など、しないならしないで済むのだし……。


 あたしも感じているのだった。


 洗顔した後の素顔が一番過ごしやすいと。


 休日ぐらい、それでいいと思っていたのである。


 そしてその日も午後二時半過ぎに雄哉がやってきた。


 玄関先で物音がし「友里、いる?」という声が聞こえて、である。


 あたしも思っていた。


 休みはリラックスモード全開よと。
< 573 / 815 >

この作品をシェア

pagetop