夢を見る
第86章
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 土曜の夕食は手料理を作った。


 まあ、手料理とは言っても凝ったものじゃなくて、単に肉と野菜を炒めた物を一品に、ご飯と汁物を添えただけだったけれど……。


「ゆっくりしようね」


「ああ。普段疲れてるしな」


「うん。あたしも管理職だから、大変よ。食事休憩の時間と午後三時からの休憩時間以外はずっとフロアに詰めてるし」


「お互い様ってことだね?」


「ええ。……雄哉も営業大変でしょう?」


「まあな。……でも、慣れてるからね。平気だよ」


「そう?こんなに寒いのに」


「うん。もちろん、スーツの上に一枚羽織ってるけどな」


「休める時は、なるだけゆっくりしてね」
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