夢を見る
 と言ってきた。


 この優しさが雄哉の持ち味だ。


 そう思っていた。


 彼もずっと営業をやっていて、人間模様がよく分かっているのである。


 やはり実社会ではいろんなことがあるのだろう。


 雄哉なりにそんなことを感じているようだった。


 いつもはクタクタになるまで働き、自宅に帰れば眠るだけみたいなのだし……。


 あたしも思っていたのである。


 お互い、疲れているのに変わりはないと。


 彼が言った。


「友里、会社じゃワンフロアの主任なんだろ?仕事はたくさんあるかもしれないけど、程々にね。体壊したら大変だし」


「うん。分かってはいるんだけどね」
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