夢を見る
「お先するわね」と言って。


 駐車場まで歩きながら、夕空を見上げる。


 確かに疲れ果てていた。


 平日でもこの時間帯、残業中は苦しいのだけれど、それがない時は精神的に楽になる。


 車のロックを解除し、運転席に座ってからエンジンを掛け、車を出す。


 夜道の運転に気を付けて、走らせ始めた。


 明日、彼と会えると思うと、楽しみだ。


 別にあたしもずっと仕事が続いてても、週末はゆっくりしていた。


 努めて、である。


 あたしも大人だ。


 そこら辺りにいるガキとはまるで違う。


 結婚したことがないのだし、子供の可愛さなどあまり分からない。


 だけど、仕方なかった。
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