夢を見る
 休みの日だから、寛いでいるのだ。


「雄哉」


「何?」


「昨日も言ったけど、一応三月末の旅行のことは考えておいて」


「ああ。俺もちゃんと休み取るから。……有休たくさんあるしな」


 雄哉がそう言って大きく伸びをし、洗面台へと歩き出す。


 洗顔する時のジャブジャブという水の跳ねる音が聞こえてきた。


 また明日から通常通り仕事だ。


 遅れちゃったと思いながら、バレンタインのチョコレートを手に取り、洗面台からリビングに来た彼に手渡す。


「ああ、ありがとう」


 雄哉が笑顔を見せる。


 あたしも嬉しくなった。
< 719 / 815 >

この作品をシェア

pagetop