夢を見る
 当然だろう。


 あの人間にされたことを、未だ克明に覚えているからである。


 酒を飲み、暴言を吐いたり、暴力を振るったりなど散々なことをした。


 許されるわけがないのである。


 そんな風に思っていた。


 まあ、人間だから、誰もがそう感じるのだけれど……。


 時間などいくらでもある。


 夜間は昼間の作業の続きをやったり、読書をしたりするのだった。


 そして朝は午前九時前に出勤する。


 毎日、玉木たち部下が先に来ていて、


「主任、おはようございます」


 と挨拶してきた。


「ああ、おはよう」と端的に返し、フロア隅のコーヒーメーカーでコーヒーを淹れて飲む。
< 725 / 815 >

この作品をシェア

pagetop