夢を見る
 彼がそう言い、あたしの淹れたコーヒーを飲みながら、ゆっくりし続けた。


 ただ、あたしの中ではまだ燻っている。


 父や親族のことが、だ。


 まるで胃の中で消化不良に終わった食べ物のように。


 だけど、いつまでも気にしていても仕方ない。


 それに三月末に行く赤道直下の島、コウルカジャネ島のこともいろいろと調べている。


 常夏の島だ。


 半袖シャツを持っていって、ちょうどいい。


 別に多少暑いぐらい、気に留めてなかったのだし……。


 それに年度末に旅行することで、新年度からまたいいスタートが切れるだろう。


 そう思っていた。


 仕事中ずっと、である。


 雄哉とはこれからも一緒に過ごせるのだ。
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