夢を見る
「ああ、気遣ってくれてありがとう。……でも、簡単に仕事休めないわよ」


「主任という立場柄……ですか?」


「ええ。目の前のことこなすのに必死なの。多少疲れてたとしても」


「でも、ご無理はよくありませんよ。体に差し障りますし」


「玉木、あたしが何年今の仕事やってるか、分かってるの?もう十年以上続けてるのよ」


「まあ、確かに主任は気丈な方ですが」


 玉木がそう言って笑う。


 きっとあたしの方がいろいろ溜め込んでる、とでも思っているのだろう。


 だけど、別に平気だった。


 わずかな休憩時間でも頑張れる。


 少し休息を取ったら、また走り始めるのだった。


 その繰り返しである。


 年中そんな感じだったのだけれど、人間はどこかしらで上手く出来ているのだ。
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