夢を見る
 玉木たちもずっと頑張っている。


 そのお陰であたしも上の人間たちから叱られずに済んだ。


 管理職である以上、誰でもそう思っている。
 

 彼とは連絡を取り合っていた。


 メールなどを通じて、である。


 どこに行くにしても、スーツのポケットに必ずスマホを入れていた。


 ガンで死んだ父のことを思い出したりしていたのだけれど、もう何もない。
 

 人間は成長していくにしたがって、背負っていた重い荷物が取れていく。


 楽になるのだった。


 別に楽をし続けるわけじゃないのだけれど、抱え持てない悩みなどない。


 いいと思っていた。


 パソコンのキーを叩きながらも、頭の片隅でそんなことを考え続けている。


 持っている悩み事は、全て解決へと向かう。
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