夢を見る
「おはよう。……まだ眠いでしょ?」


「いや、大丈夫。目はちゃんと覚めてるし」


「疲れてない?」


「ああ、いくらかね。でも、昼間眠ることはないからな。俺も普段営業してて、業界の最前線にいるんだし」


「週末はリラックスして。あたしもムード作るから」


 そう言って、コンポのモーツァルトのCDを昨夜とは掛け替え、朝の目覚めにいい曲集にした。


 そしてキッチンへと戻り、食事を作り続ける。


 変化はない。


 単に休日の朝というだけで。


 いつもなら、今の午前九時過ぎは職場に行って仕事をしている時間だ。


 あたしも最近、流行や廃りと言ったものにあまり関心がなかった。


 テレビを付ければ、同じような芸能人ばかりが喋っている。
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