夢を見る
 と訊いてくる。


「うん。まあ、普通かな。スゥーと過ぎていったけど」


「そう?俺もそうまで長くは感じなかったね」


 彼もゆっくりと椅子の背凭れに凭れ掛かり、寛いでいた。


 飲み物をと思って、アイスコーヒーを二杯淹れ、持ってくる。


 暑いので、冷たい物が美味しい。


「まあ、せっかくの週末だから、ゆっくりしようね」


 そう言って、付けていた暖房を止め、家用の空気清浄機を回し始める。


 花粉飛散の全盛期が終わっても、まだ空気清浄機が必要だ。


 あたしたちはその日、ずっと一日中一緒にいた。


 食事は雄哉が来る前に買っていたもので済ませている。


 眠気は差す。


 やはり春だからだろう。
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