甘え下手
三人で鍋を囲むだなんて、不思議な会になってしまったけれど、沙綾が人見知りしない性格のせいか、変な空気になることもなく自然な感じだ。


「はい、さーちゃん」

「げっ。お姉ちゃん春菊入れないでよ」

「さーちゃん、野菜もたくさん食べないと美肌になれないよ」

「だって。阿比留さん」


言いながらひょいひょいと自分のお皿から春菊を阿比留さんのお皿に移す沙綾に、顔をしかめながらも抵抗を見せない阿比留さん。

沙綾のこういう他人の懐にすぐ飛び込んでいけるところ、すごいと思う。


「じゃあ、乾杯していただきますしよう! 阿比留さんと友達になった夜にカンパーイ!」


沙綾の音頭で三人でグラスを合わせた。

ビールの炭酸がしゅわしゅわとはじける。


そうか。

私と阿比留さん、お友達になんだ。


改めて宣言すると、ますます不思議な感じだ。

だって参田さんとは友達って感じじゃない。それなのに、参田さんとお友達の阿比留さんと友達になっただなんて。
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