甘え下手


「ええー、じゃあ阿比留さんの実家、歯医者さんなんですか? すごーい、お金持ち?」

「さあ。普通じゃねえ?」


もぐもぐもぐ。

焼き豆腐、いい感じに味が染みてきた。


阿比留さんとさーちゃん、食べるかな。お皿に取り分けようかな。


阿比留さんの実家、歯医者さんだったんだ。

私、そういうの聞いたことなかった。


「じゃあ、血液型は?」

「沙綾はB型だろ」

「ちがーう! A型だし。どういう意味!?」


沙綾が阿比留さんの腕をバシバシたたく。

スキンシップが増えてきたのは、沙綾が相手を気に入った証拠だ。


阿比留さんもいつの間にか、『沙綾』と名前で呼んでいて、私は二人が予想をはるかに超える速度で意気投合していることに戸惑いを覚えていた。


「お姉ちゃんは阿比留さん、何型だと思う?」

「うーん……、AB型、とか?」


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