甘え下手
「あー、分かる! 裏表あります、的な?」

「女って血液型の話すんの好きだよな」

「ちょっと、それって合コン慣れしすぎ発言ー」


阿比留さん、合コン慣れしてるんだ。

そこでもこうやって初対面の女の子に触れられても、からかわれても優しいのかな。


変なの、私。

べつにいいじゃん。


「ねっ。お姉ちゃん」

「えっ、何?」

「もー、聞いてなかったの? 阿比留さんとお姉ちゃん同じO型だねって話!」

「え、ああ。そうなんだ」

「反応薄っ」

「……比奈子ちゃんは愛しの室長以外は興味ないんじゃないの」


どこか冷めた口調の阿比留さんのセリフにぐっと黙る。

言い返せなかったのは阿比留さんの言ったことが図星だったからじゃない。


全く別のことを考えていた自分に戸惑ったからだった。
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