甘え下手
「でも航太さんもO型なんですよ」

「あー、そう。O型はいい男が多いっていうしな」

「初めて聞いたし! でもそうかも!」

「比奈子ちゃんは妹がいると大人しいんだな」

「えっ? そうですか? 確かにさーちゃんがいっぱいしゃべるから、聞き役が多いかも」

「えー、私のいないところではお姉ちゃんよくしゃべるんだ? 阿比留さんとお姉ちゃん、いつの間にそんな仲良くなったの?」

「仲良くなんて……」

「なってないって? 相変わらずつれないね、比奈子ちゃんは」

「ち、違います! 仲良しですけど! でも、それは私が勝手に思ってるだけかもって……!」


力説するとキョトンとする二人。それを見て、何を言ってるんだろうと猛烈に恥ずかしくなった。

また、阿比留さんにからかわれる。


思わず身体に力を入れて身構えていたけれど、返ってきたのはからかいの言葉なんかじゃなかった。

阿比留さんが笑った。ふわっと、とても優しい瞳で。


最初冷たい人だと思っていたのに、阿比留さんはたまにものすごく優しい瞳を向けてくれる。

その瞬間はいつも、心臓がすごくドキドキする。
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