甘え下手
「し、知り合いじゃないです! 初対面です!!」
コイツ誰だろう、みたいな感じで見られる空気にいたたまれなくなって、先に発言する。
阿比留さんは黒髪の長身、クールな雰囲気をまとったいわゆるイケメンで、社内では主に女子の間でとても有名。
だけどそのクールさゆえに表だってきゃあきゃあ騒ぐことは許されず、皆ひっそりこっそり芸能人を見るかのように遠くから見守っている。
私には癒しの櫻井室長がいるから、興味はないんだけど、それでも彼の噂は耳に入ってくる。
実は女嫌いなんだとか、裏でものすごく遊んでるらしいとか、勝手な憶測がほとんど。
会社という狭いコミュニティで、知名度が芸能人クラスの阿比留さんを知ってるからといって、向こうが私のことを知ってる可能性なんてゼロに等しいのに参田さんってば……!
「あっ、そうなんだ? 比奈子ちゃん、お前のことかっこいいってさ」
「んなっ……! いっ、言ってないー!!」
「えっ、そう? でもさっき格下がナンタラって……俺より阿比留のがいいってことでしょ?」
「そ、それは一般論として言ったんであって……!」
「えー、阿比留さんめちゃイケメンですよね。わざわざ否定しなくてもいいじゃん、お姉ちゃん」
参田さんとのやり取りに沙綾が入ってきて、こうなると激しく否定しようとする自分がひどく子どもじみて思える。
コイツ誰だろう、みたいな感じで見られる空気にいたたまれなくなって、先に発言する。
阿比留さんは黒髪の長身、クールな雰囲気をまとったいわゆるイケメンで、社内では主に女子の間でとても有名。
だけどそのクールさゆえに表だってきゃあきゃあ騒ぐことは許されず、皆ひっそりこっそり芸能人を見るかのように遠くから見守っている。
私には癒しの櫻井室長がいるから、興味はないんだけど、それでも彼の噂は耳に入ってくる。
実は女嫌いなんだとか、裏でものすごく遊んでるらしいとか、勝手な憶測がほとんど。
会社という狭いコミュニティで、知名度が芸能人クラスの阿比留さんを知ってるからといって、向こうが私のことを知ってる可能性なんてゼロに等しいのに参田さんってば……!
「あっ、そうなんだ? 比奈子ちゃん、お前のことかっこいいってさ」
「んなっ……! いっ、言ってないー!!」
「えっ、そう? でもさっき格下がナンタラって……俺より阿比留のがいいってことでしょ?」
「そ、それは一般論として言ったんであって……!」
「えー、阿比留さんめちゃイケメンですよね。わざわざ否定しなくてもいいじゃん、お姉ちゃん」
参田さんとのやり取りに沙綾が入ってきて、こうなると激しく否定しようとする自分がひどく子どもじみて思える。