甘え下手
嫌な予感
「俺、結婚を考えてる彼女がいる」

「……は」


あまりにも突然の衝撃は、脳天を突き抜けて、そのまま私の意識を宇宙の彼方に飛ばしちゃったみたいだ。

一瞬で抜け殻になった私は口を開けて、ただ間抜けな声を漏らした。


「ごめんな、比奈子ちゃん」

「……」


そのセリフが全てを物語っていた。

それで私は気づいた。


櫻井室長は知っている。

私の想いも全て。


だからこその『ごめん』なんだ。

その事実にも茫然としてしまう。


いつの間に想いは気づかれていたんだろう。

最近の変な態度で? それとも今、さーちゃんのことを追求したから?


ああ、でもどっちにしろ私。

今、フラれちゃったんだなあ……。


頭がぐわんぐわんと揺れているようで、意識がぼんやりとしていた。
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