甘え下手
どうしよう。
なんか、私泣きそうかも。
次の言葉が出てこない。
「相手誰なんですか?」なんて能天気なこと、聞けない。
だって、櫻井室長を追いかけてこの会社に入ってきて。
毎日同じフロアで顔合わせて、長い時間を過ごして。
選ばれたのは違う女の子だった。
そのショックはひとことじゃ言い表せられない。
沈黙が少しずつ重たさを増す。
どうしよう、何かしゃべらないと。
櫻井室長も若干の気まずい空気を感じて、口を開くタイミングを計っているのが分かる。
そんな焦りが心の中を支配し始めた時だった。
かすかな電子音が私達の耳に届いて、お互い顔を見合わせた。
「比奈子ちゃん、電話鳴ってる?」
「みたいですね……」
聞こえてくるのは明らかに隣の部屋からで、鳴っているのは私のスマホに他ならなかった。
それを救いの神だと捉えたのは私だけじゃなくて、櫻井室長も同じだったと思う。
なんか、私泣きそうかも。
次の言葉が出てこない。
「相手誰なんですか?」なんて能天気なこと、聞けない。
だって、櫻井室長を追いかけてこの会社に入ってきて。
毎日同じフロアで顔合わせて、長い時間を過ごして。
選ばれたのは違う女の子だった。
そのショックはひとことじゃ言い表せられない。
沈黙が少しずつ重たさを増す。
どうしよう、何かしゃべらないと。
櫻井室長も若干の気まずい空気を感じて、口を開くタイミングを計っているのが分かる。
そんな焦りが心の中を支配し始めた時だった。
かすかな電子音が私達の耳に届いて、お互い顔を見合わせた。
「比奈子ちゃん、電話鳴ってる?」
「みたいですね……」
聞こえてくるのは明らかに隣の部屋からで、鳴っているのは私のスマホに他ならなかった。
それを救いの神だと捉えたのは私だけじゃなくて、櫻井室長も同じだったと思う。