甘え下手
失恋の後
阿比留さんが怒っている。
黙ってろと言われたから、助手席でずっと黙っているのに、阿比留さんの不機嫌は一向に直る気配がない。
こうしている間にも車は着実に阿比留さんのマンションへと近づいている。
どうしよう。
阿比留さんが会いに来てくれたことに嬉しい気持ちがないといえば嘘になる。
いや……正直嬉しかった。
私が泣いてたんじゃないかって言ってくれたこと。
実際、めちゃくちゃ泣いてたワケだけど、それでもこんな風に弱っている時にヒーローのごとく現れちゃう人なんて私には初めてだった。
失恋したばかりなのに。
そんな風に思う自分が自分でよく分からない。
それに戸惑う気持ちと、阿比留さんの本心が見えないから。
だって阿比留さんは言ってた。
『身体だけの温もりが恋しくなる夜だって、比奈子ちゃんにも絶対くるよ』
それが今の私の状態ってことなんだろうか……。
黙ってろと言われたから、助手席でずっと黙っているのに、阿比留さんの不機嫌は一向に直る気配がない。
こうしている間にも車は着実に阿比留さんのマンションへと近づいている。
どうしよう。
阿比留さんが会いに来てくれたことに嬉しい気持ちがないといえば嘘になる。
いや……正直嬉しかった。
私が泣いてたんじゃないかって言ってくれたこと。
実際、めちゃくちゃ泣いてたワケだけど、それでもこんな風に弱っている時にヒーローのごとく現れちゃう人なんて私には初めてだった。
失恋したばかりなのに。
そんな風に思う自分が自分でよく分からない。
それに戸惑う気持ちと、阿比留さんの本心が見えないから。
だって阿比留さんは言ってた。
『身体だけの温もりが恋しくなる夜だって、比奈子ちゃんにも絶対くるよ』
それが今の私の状態ってことなんだろうか……。