甘え下手
ちなみに指示を出してきたチーフはさっさと社に帰ってしまった。
彼は会場の様子を見に来ただけの監督的立場の人で、やはり現場の仕事は手伝ってもらえない。
本来なら私は、受付嬢的役割のはずなんですけどね……。
なんて勝手に思ったところで、実際、受付嬢なんて高尚な立場ではないから、いち平社員の私は、こうしてせっせと一人で、レイアウト変更に励むしかない。
展示会二日目の今日、ブースに立ち寄って名前を書いてくれる人が、どれぐらい来てくれるかが問題だ。
目標人数に達するかは正直、微妙なところだったりする。
だからこそ、こうして見やすいようにレイアウトを替えてるんだけど。
どうにか吉と出てくれますように。
祈りながらどうにかレイアウト変更を終える頃、参田さんが煙草の匂いをまといながら外から帰って来た。
「あっ、レイアウト替えたんだ? 見やすくなったじゃん」
「……はい」