甘え下手
「何が違うの」

「私は阿比留さんからそういう言葉を聞きたいんじゃなくて……阿比留さんが私のことをどう思ってるか、阿比留さんの本心が知りたいんです……」

「……」


もっと図々しいことを言ってしまえば。

阿比留さんが何に悩み、何に傷ついているのか知りたい。


どうして眠れない夜を過ごしてるのか。

どうして女の人と遊ぶのか。


阿比留さんそのもの全てを知りたいと思う。


「俺のこと知りたいの?」


少しの沈黙の後、いつもの挑発するような微笑みで阿比留さんは私に問いかけた。

私は今度は誤魔化したりせずにコクリとうなずいていた。


「俺さ、歪んでるよ?」

「……」

「一晩限りの関係を持った女なんて、思い出せないぐらいいるし、彼女なんていたって放ったらかしだし」
< 202 / 443 >

この作品をシェア

pagetop