甘え下手
新しい距離
「おはよー、比奈子ちゃん。アレ、今日も出張だっけ?」
「おはようございます。えっと今日は出張ではないんですけど……」
朝イチ参田さんの突っ込みに肝を冷やす。
着替えなんて持ってなかった私は、昨日と同じスーツのままだ。
社内は私服だから、私がスーツを着るのは出張やお客さんがある時のみだ。
「あれ? あ、あぁ~。そういうこと」
勘の鋭い参田さんはすぐに何かに気づいたらしく、ニヤニヤと緩んだ表情で隣に座った。
一瞬、阿比留さんの家に泊まったことがもうバレたのかと思ってドキドキしたけれど、すぐに参田さんが勘違いをしていることに気づいた。
そうか、普通に考えればそうだ。
参田さんは私が櫻井室長とお泊まりしたと思ってるんだ。
「……参田さん」
「なに? 感想でも聞かせてくれんの? 俺、口は固いから大丈夫!」
「……違うんです」
「ん?」
「参田さんが考えてるようなことじゃ、ないんです……」
迷いながら、言葉を選びながらしゃべった。
追求されれば誤魔化しきれないかもしれないし、櫻井室長の結婚のことはまだ極秘だから絶対にしゃべるわけにはいかない。
「おはようございます。えっと今日は出張ではないんですけど……」
朝イチ参田さんの突っ込みに肝を冷やす。
着替えなんて持ってなかった私は、昨日と同じスーツのままだ。
社内は私服だから、私がスーツを着るのは出張やお客さんがある時のみだ。
「あれ? あ、あぁ~。そういうこと」
勘の鋭い参田さんはすぐに何かに気づいたらしく、ニヤニヤと緩んだ表情で隣に座った。
一瞬、阿比留さんの家に泊まったことがもうバレたのかと思ってドキドキしたけれど、すぐに参田さんが勘違いをしていることに気づいた。
そうか、普通に考えればそうだ。
参田さんは私が櫻井室長とお泊まりしたと思ってるんだ。
「……参田さん」
「なに? 感想でも聞かせてくれんの? 俺、口は固いから大丈夫!」
「……違うんです」
「ん?」
「参田さんが考えてるようなことじゃ、ないんです……」
迷いながら、言葉を選びながらしゃべった。
追求されれば誤魔化しきれないかもしれないし、櫻井室長の結婚のことはまだ極秘だから絶対にしゃべるわけにはいかない。