甘え下手
「ベッド行く?」


その意味はすぐに分かったから顔がかあっと赤くなる。


「そ……ひゃっ」


「それはちょっと」としり込みしようとしたのに、阿比留さんはさっさと私を肩にかつぎあげてしまった。

お姫様だっこなんてもんじゃない、荷物を肩にかつぐような格好だ。


「お、下ろしてくださいっ!」


意外に重いだなんて思われてるんじゃないかと思うと、嫌な汗が出てきそうで私はバタバタと足をバタつかせた。


「やだね。離したら逃げるでしょ」

「……に、逃げませんけど」

「へえ? 逃げないんだ。意外だね」


そんなやり取りを交わしてる間に阿比留さんは寝室のドアを開けて移動してしまい、私はベッドの上に下ろされた。

ふわりと布団から阿比留さんんの匂いが香った気がして、緊張はMAXになった。


阿比留さんのことが好きだ。

だから眠れない夜はそばにいたいと思うし、触れられれば嬉しくて幸せな気持ちになる。


「比奈子ちゃんは色んな理由つけて絶対逃げると思った」
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