甘え下手
阿比留さんはちょっと不思議そうな顔をした。
それから「痛い?」と心配そうに気遣ってくれる。
私は少し笑うと指で涙を拭って軽く頭を振った。
そうじゃなくて。
痛みはもちろん伴ったけれど、それがツラいわけじゃなくて。
ひとつになれることに感動するんです。
なんて。
そんなセリフは恥ずかしいからさすがに口に出せなかった。
また恋に夢見すぎって言われちゃうかもしれないから。
だけど私にとってはとても大切な経験で。
きっと生涯忘れない感動だろうと思った。
薄明かりの下カーテンの隙間から差し込む月明かりの色。
シルバーの壁掛け時計が刻む秒針の動き。
この空間を彩る全ての景色を脳裏に焼きつけて、一生消えない鮮やかな記憶になればいいなと思った。
それから「痛い?」と心配そうに気遣ってくれる。
私は少し笑うと指で涙を拭って軽く頭を振った。
そうじゃなくて。
痛みはもちろん伴ったけれど、それがツラいわけじゃなくて。
ひとつになれることに感動するんです。
なんて。
そんなセリフは恥ずかしいからさすがに口に出せなかった。
また恋に夢見すぎって言われちゃうかもしれないから。
だけど私にとってはとても大切な経験で。
きっと生涯忘れない感動だろうと思った。
薄明かりの下カーテンの隙間から差し込む月明かりの色。
シルバーの壁掛け時計が刻む秒針の動き。
この空間を彩る全ての景色を脳裏に焼きつけて、一生消えない鮮やかな記憶になればいいなと思った。