甘え下手
「ごめん、なさい……」


しぼんだ風船みたいにシュンとなる。

ワガママを通して自分だけ幸せな気持ちを得た代償に、周りに心配させてしまった。


そんな恋じゃいけない。


「いや、俺に謝ることじゃないよ。広哉が過保護なのは俺も認めるし。でもまあ連絡のひとつくらいはしてやって」

「はい」

「おせっかいでごめんな?」

「航太さんはもう一人のお兄ちゃんだから……」

「だな」

「航太さん」

「ん?」

「好きな人ができました」


突然の告白に航太さんはちょっと驚いた顔をした。

阿比留さんとのことはお兄ちゃんから聞いているだろうし、こんなこと報告する必要なんてないのだけれど。


私なりのケジメ。

すぐに理解してくれた櫻井室長はふわっと優しい笑みを浮かべて「そっか」と言った。
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