甘え下手
気づけない風穴
最近、比奈子の様子がおかしい……気がする。
「えっ? 比奈子ちゃん? そういやのど乾いたっつって、自販機でおしるこ買ってきたことあったな。でもそんなのいつも通りじゃねえ?」
「……あっそ」
いつも通り……か?
そんな抜けたキャラじゃなかった気がするが。
仁の中では普段と大差ないらしい。
「あれじゃね? 倦怠期? そろそろ付き合って半年経つでしょ」
「……早すぎだろ」
「バカだな。女ってのは常に新鮮さを求めるもんなの!」
「新鮮さを求める女があんなに長々と片想いしてるかよ」
「それもそうか……って噂をすれば」
いつものそば屋の座敷はパーテーションで区切られていて、通路からこちらは見えにくくなってるはずなのに、何故か姿勢を低くして隠れる仁。
視線の先を辿ればそこには部下と入ってくる櫻井室長の姿があった。
「人気筆頭株の室長もついに結婚だもんな~。しかも庶務の中山ちゃん! 俺密かに目つけてたのにまさか室長にさらわれるとはな!」
「どこが密かにだよ。散々声かけてたじゃん。飲み会だってやったし」
「えっ? 比奈子ちゃん? そういやのど乾いたっつって、自販機でおしるこ買ってきたことあったな。でもそんなのいつも通りじゃねえ?」
「……あっそ」
いつも通り……か?
そんな抜けたキャラじゃなかった気がするが。
仁の中では普段と大差ないらしい。
「あれじゃね? 倦怠期? そろそろ付き合って半年経つでしょ」
「……早すぎだろ」
「バカだな。女ってのは常に新鮮さを求めるもんなの!」
「新鮮さを求める女があんなに長々と片想いしてるかよ」
「それもそうか……って噂をすれば」
いつものそば屋の座敷はパーテーションで区切られていて、通路からこちらは見えにくくなってるはずなのに、何故か姿勢を低くして隠れる仁。
視線の先を辿ればそこには部下と入ってくる櫻井室長の姿があった。
「人気筆頭株の室長もついに結婚だもんな~。しかも庶務の中山ちゃん! 俺密かに目つけてたのにまさか室長にさらわれるとはな!」
「どこが密かにだよ。散々声かけてたじゃん。飲み会だってやったし」