甘え下手
こうして誰かと話している方が気が紛れるかもしれない。

そんな判断で私は部屋を出てリビングで荒れているお兄ちゃんと飲み比べをした。


優子さんのこと、気にならないわけはない。

人命が関わってるし、心配してる気持ちももちろんある。


だけど阿比留さんと話すのが怖い。

たとえば優子さんが無事で……阿比留さんに「そばにいてほしい」って言ったなら、阿比留さんはどうするんだろう。


その時、私達はどうなっちゃうんだろう。


トイレに行ったついでに部屋に戻ってスマホを確認した。

優子さんが無事だったというメッセージを聞いてとりあえずホッとする。


そして「話をしよう」という主旨のメッセージを聞いて心臓がぶるりと震えた。

怖い怖い怖い。


皆が私のことを強いっていうけれど、あいにくそこまで鉄の心臓を持ち合わせてるわけじゃない。

一度手に入れた温もりを引きはがされたことなんてない。


付き合ってからの失恋なんて未知の世界だ。
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