甘え下手
さーちゃんに言ったらブチ切れられるだろうな。

さっさとハッキリさせなさいって。


「比奈子はさー。他の女の人のところに行っちゃった阿比留さんを許せるの?」

「……だからそれは命に関わることだったんだよ。行かないでってすがる私を置いてっちゃったとかじゃないんだよ」

「すがらないくせに」

「……」


枝豆をぷちぷち食べる秋菜にばっさり切られて、私は頬を膨らませたまま横に座る秋菜をじとっと見つめた。

図星だから何も言い返せない。


「そんなこと言われたって分からないよ。そりゃ優子さんがいつまでも阿比留さんの心の中にいるのは嫌だけど、それで阿比留さんまで嫌になるかって言ったらそれは別問題じゃん」

「まぁね」

「そんなに簡単に嫌いになれないよ……」

「比奈子らしいわね。年期が入った片想い、大好きだもんね」

「ちょっと片想いって言わないで……」


テーブルに肘をついて頭を抱える。


すでに私は片想いになっちゃってんの?

一体、私はどうしたいの?
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