甘え下手
「俺、菓子とか食わねーけど」

「ご家族の皆さんで……」

「ひとり暮らしだし」

「……営業部の皆さんで食べたらどうでしょう?」


言いながら自分でも苦しいなと思ってきた。

営業部の女の子が食べたら、全然阿比留さんへのお詫びになってないじゃん!


「はぁ……」

「お詫びに来といてため息とはいい度胸してるよな、比奈子ちゃん」


ぎゃっ。

デビルの鋭いツッコミに慌てて背筋を正す。


それにしても……。


「あ、あの……」

「なに」

「"比奈子ちゃん"はどうかと思いますけど……、社内ですし……」

「苗字忘れた。つかアンタそれ仁に言った?」

「……何度も言ったけど、やめてくれないんです」

「じゃ、俺もやめる必要ないんじゃない?」

「……」
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