甘え下手
阿比留さんはクールでそっけないように見えるけれど、実は女性を喜ばせるのがとても上手なのだ。
それは彼の恋愛経験値なんだろうなーと思うと悔しい気もするけれど、やっぱり女としてはこぎれいで雰囲気のお洒落な日本旅館なんて心が躍る。
だけど私は阿比留さんの女性の扱いが上手いところとか、洗練されたスマートな雰囲気じゃなくてむしろ……。
――『俺さ、歪んでるよ』
人間くさいドロドロした部分や、素直になれない不器用な部分を知ってから、彼のことをもっと……。
「――なんですよ。今の時期じゃまだ泳げませんけど、散歩するだけでも気持ちいいですよ」
「えっ?」
「あ、そこの砂浜の話です。夕日が落ちる景色は最高ですよ。今日はお天気も良いですし」
「あ、はい。行ってみます」
客室係の女性が周辺の観光案内をしてくれていたのに、私の頭はまたトリップしてしまっていた。
「お連れさまも間に合うといいんですけど」
「……」
それは彼の恋愛経験値なんだろうなーと思うと悔しい気もするけれど、やっぱり女としてはこぎれいで雰囲気のお洒落な日本旅館なんて心が躍る。
だけど私は阿比留さんの女性の扱いが上手いところとか、洗練されたスマートな雰囲気じゃなくてむしろ……。
――『俺さ、歪んでるよ』
人間くさいドロドロした部分や、素直になれない不器用な部分を知ってから、彼のことをもっと……。
「――なんですよ。今の時期じゃまだ泳げませんけど、散歩するだけでも気持ちいいですよ」
「えっ?」
「あ、そこの砂浜の話です。夕日が落ちる景色は最高ですよ。今日はお天気も良いですし」
「あ、はい。行ってみます」
客室係の女性が周辺の観光案内をしてくれていたのに、私の頭はまたトリップしてしまっていた。
「お連れさまも間に合うといいんですけど」
「……」