甘え下手
妹に本音言ってどうする。

その後に沙綾の口から出てきたセリフはそのまんま。


「それ阿比留さんに言えば?」

「……」


ハイ、その通りです。


逃げずに向き合うっていうのは、私の中では別れ話を切り出されても耐えるってことだったんだけど。

向き合うっていうのはそういうことじゃないのかもしれない。


溜め込んでるドロドロした気持ちも、全部見せてぶつかっていくってことなのかもしれない。

その先は……あんまり想像したくないけど。


私の正直な気持ち……。


「ハンバーグ……」


きっと阿比留さんからしたら小さなこと。

そんなこと気にする心の狭いヤツだって思われたくなくて、言えなかった。


「私のハンバーグの方が絶対美味しいんだからー!」


小さな声でまた海に向かって叫んでみる。

誰も聞いていないからこその強気。
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