甘え下手
やっぱり聞かれてたー!

しかもかなりの初期段階から!!


「あ、あのですね」

「うん」

「私のハンバーグは山芋入りなんです!ふわっと柔らかいお兄ちゃんもお気に入りの一品なんです!」

「うん?」

「だ、だからハンバーグはちょっと自信あったっていうか、あの……」

「比奈子?」


ダメだ。

何言ってるのか自分でも分かんなくなってきた。


本音を探られてる緊張と、さーちゃんの『言わなきゃ分かんないよ』の言葉がぐるぐると回る。


「……だから阿比留さんが『ハンバーグ作れる?』って聞いてくれた時、嬉しかったんです!」

「え?」

「阿比留さんの実家に行った時、優子さんがハンバーグ作るって言ったら阿比留さんのお兄さんが彼女に作ってもらえって……!」

「ああ」


やっぱり忘れてたー!


「あ、阿比留さんには忘れちゃうような些細なできごとだったかもしれないけど、私は真に受けちゃってて」
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